不動産相談

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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

賃貸事例 0711-R-0021
借家契約における借家人との立退き交渉(立退料の算定)

家主からの要望で、賃貸マンションの入居者を合法的に立退かせるには、どのような方法があるか。

事実関係
 当社は、賃貸マンションの賃貸の媒介と管理を主な業務とする宅建業者であるが、このたび貸主(オーナー)から、たっての頼みということで、現在貸している部屋の最上階に自分の娘に住まわせたいので、何とかそのうちの1室を立退かせて欲しいとの申し出があった。
 なお、契約書の上では、貸主からの中途解約や更新の拒絶をするには、6か月前に借主に通知すればよいことになっている。
 
質問
1.  家主は、6か月前の通知をしただけでは、立退かせることは難しいと言っているが、そのとおりか。
2. もしそうだとすれば、どのようにしたら、借主に協力してもらえるか。
 
回答
1.  結論
(1) 質問1.について
そのとおりである。
(2) 質問2.について
相応の立退料を支払うということで、合意解約の途をさぐるのが早道だと考える。
 
2.  理由
(1) について
6か月前の通知でできるという契約書上の文言は、有効ではない。いずれも借地借家法上は、貸主側に「正当の事由」があることを要求するものであるから(同法第28条)、貸主側に、娘を住まわせないと家主の生活に支障を来たすといったような特別な事情がない限り、娘の入居が「正当の事由」として認められることは、まず考えられない。したがって、家主としては、そのことを知っているからこそ、貴社に「立退かせることは難しい」と言ったものと考えられる。
(2) について
 本件の場合は、家主側に「正当の事由」がないと考えられるので、立退きが難しいとなれば、あとは話し合いで立退きの途をさぐるということになる。
 その際、借主には、無理に部屋を明渡してもらうわけであるから、それ相応の立退料を支払うということでなければ、話はスムーズには進まない。とすれば、次の問題は立退料の額ということになるが、この立退料については、決められた額や計算式があるわけではないが、過去の実例や判例等により蓄積された考え方によれば、おおむね次のような考え方で話し合いが行われているようなので、参考にされたい。
<立退料の算出における3つの要素>
(1) 立退きによって賃借人が支払わなければならない「移転費用」の補償
(2) 立退きによって賃借人が「事実上失う利益」の補償(いわゆる、営業権、営業上の損失など)
(3) 立退きにより「消滅する利用権」の補償(いわゆる借家権)
 通常は、この3つの要素の全部または一部を対象に、当事者が話し合いで決めていくことになるが、本件の場合のように、借主側に立退く理由が全くない場合の補償は、この3つの要素すべてを加味して算出することが多い。
<不動産鑑定による借家権価格>
借家権価格と立退料は直接結びつくわけではないが、不動産鑑定における借家権価格の算定にあたり、比較的多く使われるのが、次の割合方式である。
<割合方式による>
借家権価格 = (土地価格×借地権割合 × 借家権割合(30%〜40%)(注)+(建物価格(時価)× 借家権割合(30%〜40%)(注)
(注) 借家権割合の数値(30%〜40%)は、不動産鑑定評価基準のうえでは、借家権の取引慣行がある場合に適用されるものとされてはいるが、相続税の財産評価における借家権割合が、一般に30%で、地域により40%と定められていることから、都市再開発法における市街地再開発事業において、転出する借家人の補償費の算出等にも多く用いられるなどから一般化し、借家明渡しに関する裁判における立退料等にも用いられることが多くなってきている(「例解・不動産鑑定評価書の読み方」(清文社))。
 
参照条文
○  借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は賃貸借の解約の申入れは、(中略)、正当な事由があると認められる場合でなければ、することができない。
○  借地借家法第30条
この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
 
監修者のコメント
 質問の契約条項は、建物賃借人に不利な特約で、たとえ、それを賃借人が了承していたとしても無効である(借地借家法第30条)。
 したがって、本ケースでは【回答】にあるように合意解約に向けての話し合いしかない。その場合、立退料が主な決定要素となるが、その「相場」というものはない。しばしば、「相場」はいくらぐらいかという質問を受けるが、ケースごとに千差万別であって、貸主、借主のあらゆる事情を総合判断して決めるというしかない。
 本ケースのような場合、最も大切なことは、法的には認められないことを要請しているのだという基本姿勢で誠意をもって対応することである。

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