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売買事例 0808-B-0078掲載日:2008年8月
建物の経年劣化部分についての瑕疵担保責任免責条項の有効性
「建物の経年劣化部分については、売主は瑕疵担保責任を負わない。」という特約は有効か。付帯設備についても、瑕疵担保責任は負うのか。
事実関係 | |
最近、築年数を相当経過した物件を媒介することが多く、特に売買の場合の瑕疵担保責任について、売主から瑕疵担保責任を負いたくないと言われることが多い。 | |
質問 | |
1. | 最近の顧客からの質問の中で一番多いのは、経年劣化部分についてはもともと責任がないのではないかということであるが、もし、宅地建物取引業者が売主で、一般個人が買主となる売買において、次のような特約を付した場合、その特約は有効といえるか。 |
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2. | そもそも、建物の経年劣化部分については、瑕疵担保責任の対象にはならないと思うが、どうか。 | |
3. | 経年劣化は、建物本体だけでなく、付帯設備についても考えられるが、この付帯設備については、もともと瑕疵担保責任の対象にはならないと思うが、どうか。 | |
回答 | ||||||||||||||||||||
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参考資料 | ||
○ | 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、「新築住宅」について10年間の瑕疵担保責任を義務づけられる部位 (木造住宅の場合) |
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<雨水の浸入を防ぐ部分> 屋根、外壁、開口部 <構造耐力上主要な部分> 基礎、壁、柱、小屋根、土台、斜材、床版、屋根版、横架材 |
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○ | 同法に基づく「新築住宅」の定義(同法第2条第2項) 「この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう。」 |
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監修者のコメント | |
経年劣化」という意味が、時間的経過によって自然にその効用・機能が減少していく現象で、かつ、その目的物の通常の使用に支障をきたさないものということであれば、経年劣化部分について瑕疵担保責任を負わないというのは、むしろ当然のことであって、その特約は有効と解される。なぜなら、「瑕疵」というのは、【回答】のいうように、「その物が通常有すべき品質、性能、性状を有しないこと」であって、たとえば、築後20年を経過した住宅であれば、通常あり得る経年劣化といえる現象は、そもそも瑕疵の概念に含まれないからである。したがって、理論的にいう限り「経年劣化部分については瑕疵担保責任を負わない」旨の特約の「経年劣化部分」が客観的にそう認定できるものであることを前提にすれば有効と解される。ただ、問題は実際に起きた具体的な不具合が、その「経年劣化」といえることかどうか、当事者の主観に食い違いが生じてしまうことであるが、どうしても折り合いがつかなければ、裁判等によらざるを得ない。 |