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売買事例 0805-B-0066
査定の「根拠」についての説明の範囲

売主から査定の「根拠」について説明を求められた場合、宅建業法上、どの程度まで説明する必要があるのか。

事実関係
 不動産の売却にあたり、あらかじめ売主との間で媒介契約を締結するが、その際、査定の「根拠」について売主から説明を求められることがある。
質問
 査定の「根拠」については、宅建業法上、どの程度の説明が求められているのか。
回答
 
1. 結論
 当推進センターの「査定マニュアル」に基づいて査定をし、「口頭」で説明をする場合には、比較される事例物件と査定物件の主要な差異(プラス・マイナス)について説明をし、それに基づいて算出した価額を説明すれば、評点の1つひとつの差異についてまで説明をしなくても足りると考えられる。ただし、その過程で、時点修正をしたり、流通性比率を算出し、価額を調整する必要があるものについては、できるだけ詳しくその背景や数値の根拠について説明をする必要があると考える。
 なお、「書面」で根拠を示す場合には、その書面が不動産の鑑定評価に関する法律に基づく「鑑定評価書」ではないことを明示したうえで、ある程度具体的な相違点(プラス・マイナス)を示すなり、査定書の写しを添付するなりして、できれば査定マニュアルに基づく「計算式」によってその根拠を示し、説明するのが望ましいと考える。
2. 理由
(1)  宅地建物取引業法は、その第34条の2第2項において、「宅地建物取引業者は、前項第2号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。」と定めている。そして、その「前項第2号の価額又は評価額」というのは、依頼者がその取引物件について売買または交換を依頼する際のいわゆる「依頼価額」をいうと解されている(建設省監修・業法解説169頁(改訂版・詳解・宅地建物取引業法283〜284頁))。
(2)  したがって、この「依頼価額」というのは、いわば依頼者の「希望価額」であり、媒介契約書に記載する「売買すべき価額又はその評価額」(業法第34条の2条1項第2号)ということであるから、その媒介契約書に記載された(あるいは記載される)「依頼価額」(希望価額)を、いかに市場にマッチさせるためとはいえ、勝手に下げるわけにはいかないということから、その「依頼価額」(希望価額)に対し、媒介業者が意見を述べるには、それなりの「根拠」が必要になるということである(同法同条第2項)。
 
つまり、「依頼価額」が高すぎて、市場にマッチしないと判断されれば、媒介業者がプロとしての査定を行い、その査定結果に基づいて、価額を調整し、媒介活動を行っていくということがお互いにメリットがあるということで、そのためのひとつの方法として、当センターの「価額査定マニュアル」が定められているのである。
 
監修者のコメント
 媒介業務における「意見を述べる際の根拠明示義務」は、売却依頼者は、1万円でも高く売りたいというのが通常であるため、市場相場より高い希望価額を言うことが多く、これに対して媒介業者がこれより低い価額の意見を言って、売りに出したところ、意外に早期に買手が見つかった場合、その値付けをめぐって依頼者と業者と紛争となることが多かった。同義務はこれを防止しようとして規定されたものである。この規定を含む媒介契約の規制が創設された昭和55年までは、そのような紛争の際、媒介業者は「その値付けは、長年の業務の勘である」などと堂々と主張することもしばしばであった。
 したがって、同条は「意見を述べる」のであれば、「その根拠」を「明示」することを義務づけ、客観的、合理的根拠を明らかに示さなければならない、としたのであって、その根拠を具体的に「説明」しなければならないのではない。しかし、一般の顧客は、査定書の交付を受けただけでは、内容を理解できないのであるから【回答】にあるような程度の説明をすることが望ましい。

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