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売買事例 0805-B-0065掲載日:2008年5月
「手付倍返し」をした売主に対する残金決済時の報酬請求
媒介手数料の支払を、売買契約締結時に2分の1、残金決済時に2分の1とする媒介契約を締結した場合、手付の倍返しによる解除をした売主に対し、残金時に受領する予定の残りの媒介手数料を請求することができるか。
事実関係 | |
ある媒介業者が、売主との間で、売買契約が成立した場合の媒介手数料の支払比率を、売買契約締結時に2分の1、残金決済時に2分の1とする媒介契約を締結し、その後売買契約を成立させたが、間もなく売主が手付倍返しにより売買契約を解除した。 なお、売買契約を解除した理由は、売主の一方的な事情によるもので、媒介業者には何らの手落ちもない。 |
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質問 | |
1. | このような場合、媒介業者は、手付の倍返しを行った売主からは、媒介手数料の残りの半金を受領することはできないという意見があるが、本当か。 | |
2. | 手付の倍額を受領した買主からは、媒介手数料の残りの半金を受領することができるという意見については、どうか。 | |
3. | 買主から、媒介手数料の残りの半金を受領できるとすると、もし、手付の額が少額なために、買主が受け取った金額(実質的に売主が負担した金額=手付金相当額)より媒介手数料の方が高額の場合には、買主はいわゆる「持ち出し」になるが、それでも買主から残りの半金を受領できるのか。その手付の額が、媒介手数料の半額にも満たない額であった場合には、完全な「持ち出し」になるが、それでも買主から受領できるのか。 | |
回答 | ||||||||||||||||||||||||
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監修者のコメント | |
媒介報酬請求権は、(1)媒介契約の成立 (2)媒介の目的である売買や賃貸借の契約の成立 (3)媒介業者の行為と売買契約等の成立との間の因果関係の存在が認められることにより、約定報酬全額についての請求権が発生する。【回答】のように、契約締結時に半額、履行完了時に半額というのは、その時にそれぞれ半額の請求権が発生するのではなく、支払時期に関する特約と解されている。そして、一旦成立した報酬請求権は、当事者の手付解除によって影響を受けないのが原則である。もっとも、事案によっては、当然に約定報酬額を請求できるのではないという裁判例もないわけではないが、法理論としては【回答】のとおりである。 なお、持ち出しとなる場合、帰責原因のない当事者には、一定の考慮をすることが適切である。なぜなら、履行に至らなかった場合は、履行完了まで面倒をみることを前提にする通常のケースに比べ、媒介業者の事務量はかなり減るからである。 |