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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 0804-B-0062
新築未入居の物件を売却する場合の品確法上の問題点

 一般の個人が発注した新築未入居の請負契約物件を売却する場合、品確法上の瑕疵担保責任はどうなるか。どのように売却すればよいか。

事実関係
 当社は媒介業者であるが、このたび一般の個人から、地元の工務店に発注し完成した新築住宅について、転勤のため、急遽、売却に出すか、賃貸に出すかを判断して欲しいと相談を受けた。

 なお、この住宅は、まだ未入居で、間取りについても、汎用性のある標準的なものなので、特別仕様の新築物件として十分売却可能と判断し、売却の方を選択するように進言したい。
質問
1.  このような場合、売主である個人は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律。以下「品確法」という。)上の売主としての瑕疵担保責任を負うことになるのか。
2.  今回の売主は、転勤で遠方に行くため、買主から瑕疵担保責任について責任追及された場合、対応ができないので、その処理を直接工務店の方にしてもらうようにしたいが、法的に可能か。
回答
 
1. 結論
(1)  質問1.について — 負うことになる。ただし、今回の売主が負う責任期間は、売主が工務店から建物の引渡しを受けたときから10年間であるから、売主がすでに工務店から建物の引渡しを受けているのであれば、今回の売買で、買主の都合等により、決済・引渡しが遅れれば、その分の期間が短縮されるという関係になる(同法第95条第1項カッコ書き=後記【参照条文】参照)。
(2)  質問2.について — 可能である。ただし、そのためには、工務店はもちろん、買主もそのことをあらかじめ承諾していることが必要である。
2. 理由
(1)について
 本件の売主が負う品確法上の責任は、同法第95条第1項に規定されているとおり、当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時から10年間、担保の責任を負うことになっている。
 したがって、その10年間の期間については、今回の売買において、ローンその他の理由により、決済・引渡しの期日が遅れれば、その分の日数が短縮されることはもとより、そもそもの売却期間が長期間かかるようであると、売買契約の締結時期そのものが、当初の工務店から引渡しを受けたときから1年を超えてしまうということも考えられる。もし、そうなった場合には、もはや売主は、品確法上の瑕疵担保責任を負うことはなく、通常の中古住宅としての瑕疵担保責任を負うこととなるので、そのような場合には、瑕疵担保責任を負わないという特約を結ぶことも可能となる。
(2)について
 本件の売主の品確法上の瑕疵担保責任は、あくまでも売買契約という契約により生じる責任(契約責任)であるから、買主に対する責任の負担者は、工務店ではなく、売主ということになる。
 したがって、今回の売買契約において、買主への責任を工務店の方で直接負うということにするためには、ひとつの方法として、今回の売買契約書の中に、工務店がその責任を負うという約定が盛り込まれ、工務店がそのための記名押印をするというかたちをとるか、当事者間での契約書のほかに、別途、工務店の方で、そのための諾約書を作成し、記名押印した書面を買主に交付するといったかたちがとられることが必要である。
 
参照条文
 
○  住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条(新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特例)
(1) 新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から10年間、(中略)の隠れた瑕疵について、(中略)担保の責任を負う。(以下(略))
  (2) 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。
  (3) (略)
 
○  同法第2条(定義)
(1) (略)
  (2) この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)をいう。
  (3) (略)
 
監修者のコメント
 

品確法上の瑕疵担保責任は、平成21年10月1日に施行が予定されている特定住宅瑕疵担保の履行の確保等に関する法律に基づく瑕疵担保責任と異なり、その責任負担者は業者に限定されないので、【回答】のとおり、売主が一般個人であっても「新築住宅」である限り、同法による責任を負わなければならない。
 また、売主に代わって工務店が瑕疵担保責任を負うこととするのは、【回答】のとおり、工務店がそのことに同意していることはもちろん必要であるが、それは一種の債務引受であるから債権者である買主が承諾していることが必要である。すなわち、売主と工務店との合意だけで、工務店が直接責任を負うと決めても、そのことを買主に対して主張できないことを注意されたい。

 

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

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