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売買事例 0710-B-0038
市街化区域内農地の転用届の法的効力

市街化区域内農地の転用届は、所有権移転の効力要件か、それとも単なる届出義務に基づくものか。

事実関係
 市街化区域内の農地を転用目的で売買するが、農地法上の手続としては、農地法第5条の「許可」ではなく、「届出」でよいとされている(農地法第5条第1項第3号)。
 この場合、その「届出」が、許可の場合と同じような所有権移転のための効力要件なのか、それとも単に届出だけをすればよいものなのかによって、契約書の定め方が異なってくる。
質問
 農地法上の「届出」をどのように考え、どのように契約書をつくったらよいか。
回答
 
1.  結論
 農地法第5条第1項第3号の農業委員会への「届出」は、農地の所有権移転のための効力要件である。したがって、売買契約書の作成にあたっては、所有権移転の効力発生時を農地転用の届出の受理時と定め、売主と買主が協力して届出を行うという条項を定めればよい。もちろん、その届出を行う時までに、買主に売買代金の全額を支払うよう義務付けることは当事者の自由である。
2.  理由
 市街化区域内農地の転用のための所有権移転については、売主・買主両名による適法な届出がなされてはじめて農地法第5条の許可を要しないということであるから(後出:【参照条文】参照)、この届出は、農地の所有権移転のための効力要件であり、かつ、受理通知書の添付が登記申請手続上の要件とされている(昭和44年8月29日法務省民事局長通達)。
 したがって、届出前に売買契約を締結し、売買代金の全額を支払ったとしても、届出が受理されない限り、所有権移転の効力は生じない。その意味で、この届出は許可の場合と同じ「法定条件(注)」であるから、売買契約書に、「この売買契約は、農地法第5条の届出の受理を停止条件(注)とする。」と定めても何ら差し支えない。
(注)   この農地法上の「法定条件」は、あくまでも農地の所有権移転や地上権、賃借権等の設定が許可・届出の対象であって、契約そのものの効力の発生を条件にかからしめる「停止条件」とは異なるものである(最判昭和36年5月26日民集15巻5号1404頁、同旨最判昭和39年9月8日民集18巻7号1406頁)。
 
参照条文
 
○  農地法第5条(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)
(1)   農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項において同じ。)にするため、これらの土地について第3条第1項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可(中略)を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
1号・2号(略)
3号 前条第1項第5号に規定する市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合
(2) (3) (略)
○  同法第3条(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
(1)   農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可(中略)を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第5条第1項本文に規定する場合は、この限りでない。(以下、略)
(2) (3) (4)(略)
 
監修者のコメント
 農地法第5条1項3号の市街化区域内農地の特例は、契約の効力発生要件である知事又は農水大臣の許可の特例であるから、【回答】のとおり、農業委員会への届出(受理)は、契約の効力発生要件であり、この点異説はない。
 なお、ときとして「農地法上の許可(これに代わる届出)がなくても本契約の効力は生ずるものとする」などという契約条項を見ることがあるが、許可は法定条件であるから、そのような合意はそもそも無効である。

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