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売買事例 1008-B-0121
付帯設備についての瑕疵担保責任

 宅建業者が売主で宅建業者以外の者が買主の場合に、「付帯設備」についても、引渡しから2年間の瑕疵担保責任を負わなければならないか。負うとした場合、そのようなトラブルから回避する方法はないか。

事実関係
 当社は媒介業者であるが、以前にこの推進センターの「相談事例」をインターネットで見たときに、建物の「付帯設備」についても瑕疵担保責任の対象になるということが書かれていた。
 ところが、当社の取引している業者の中に、「付帯設備」は建物そのものではないということで、たとえば売主が宅建業者で買主が宅建業者以外の者であった場合に、台所や風呂場の設備についても2年間の瑕疵担保責任を負わなければならないということはおかしい、という業者が出てきた。
質問
  1.  この宅建業者の言い分は、「付帯設備」は建物ではないのだから、瑕疵があっても、宅建業法第40条の瑕疵担保責任についての特約の制限の規定は適用されないということだと思うが、本当に「付帯設備」は建物ではないのか。
2.  実際に、古い建物の売買を媒介した場合に、引渡し後にすぐに台所の換気扇や風呂場の機器類が故障するケースに遭遇することが多いが、このような場合にも売主業者は瑕疵担保責任を負うことになるのか。もしそうだとすれば、このようなことでトラブルに巻き込まれないようにする方法はないか。
回答
  1.結論
(1)  質問1.について — 「付帯設備」であっても、建物に組み込まれ、建物と一体になっているものは建物である。したがって、【事実関係】例示の台所や風呂場の設備も建物であり、建物の一部である。
(2)  質問2.について — 引渡し後すぐに故障したということは、契約時にすでに故障をしていたか、故障がちであったといえる。したがって、もしそうであれば、売主業者は瑕疵担保責任を負うことになるので、そのようなトラブルに巻き込まれないようにするためには、その付帯設備を事前によく点検し、部品の交換記録などを調べたうえで、たとえば「付帯設備表」に、「できるだけ早い時期に業者の点検を受ける必要があります。」などと記載し、買主に経年劣化による部品交換や設備交換の時期が近づいていることを告知しておくことが有効と考えられる。
 
2.理由
(1)について
 建物はもともといくつかの材料と部品で組み立てられており、特に住宅の場合には台所や風呂場は必須のパーツとして認識されている。したがって、建物本体の完成後に、あとからバスタブや給湯設備を取り付けたり、ガスレンジや換気扇などの厨房設備を取り付けることはよく行われるところであり、そのような経過を経て、住宅としての建物が完成するのである。
 ところで、それらのパーツが建物本体に組み込まれたあとも、そのパーツが建物の一部ではないとした場合、住宅に必須の台所や風呂場が別売りとなるわけであるから、もはや住宅としての通常有すべき機能を有さない建物ということになってしまい、一体として建物(不動産)の売買を行うことができなくなってしまうからである。

 なお、建物本体に組み込まれ、建物と一体になったもの以外のもの、たとえば屋外に設置された石油タンクや屋内のエアコン、照明機具などは取りはずしのできる動産として取り扱われるものと考えられるが、門・塀やそれに付属している付帯設備については土地の定着物として不動産として取り扱われることになると考えられる(大判大正7年4月13日民録24輯669頁)。
(2)について
 中古住宅の場合、特に台所や風呂場の設備については、毎日使うだけに、事前の点検が必須で、できることなら売却の前に部品の交換なり、設備そのものを交換し、買主に安心して購入してもらえるようにするのが望ましい。したがって、中古住宅の売却にあたって、事前に床や壁をリフォームするのであれば、その際に設備点検等を一緒に行えば、より付加価値の高い商品に仕上がるはずであり、そのようにすることが宅建業者として望ましい姿であろう。
 
監修者のコメント
 質問は、「付帯設備」の瑕疵担保責任についてであるが、問題はその「付帯設備」が建物の構成部分か、建物内にはあるが建物とは別の動産類かである。民法上の瑕疵担保責任を前提とした宅建業法第40条も、あくまでも「宅地」「建物」の瑕疵担保責任を規定しているものだからである。具体的な内容は、回答のとおりである。
 本問のようなトラブルを回避するため、業界団体においては、建物の部位あるいは付帯設備ごとの保証期間を定めた「アフターサービス規準」を設けているところもあるが、契約締結時に明確に決めておくことが望ましい。

より詳しく学ぶための関連リンク

ザ・ライブラリー 松田先生

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「瑕疵担保責任(瑕疵担保責任の期間と内容)」

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