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ここでは、当センターが行っている不動産相談の中で、消費者や不動産業者の方々に有益と思われる相談内容をQ&A形式のかたちにして掲載しています。
掲載されている回答は、あくまでも個別の相談内容に即したものであることをご了承のうえご参照ください。
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売買事例 1002-B-0113
入居者の明渡しの不成就を解除条件とする他人物売買の是非

 宅地建物取引業者が、借家人のいるアパートの立退きの不成就を解除条件とする取得に係る契約を締結し、他人物売買を行うが、このような条件を付けて他人物売買を行っても宅建業法に違反することはないか。

事実関係
 
当社は不動産の買取り再販会社であるが、このたび借家人のいる土地建物(アパート)について、入居者の明渡しができなかった場合には売買契約が解除になるという、いわゆる解除条件付の取得契約を締結し、そのうえで第三者との間で転売契約を締結したいと考えている。
質問
   このような不動産の売り方は、他人物売買における宅建業法上の禁止規定に抵触するか。
回答
  1.結論
 抵触しない。ただし、買主に対しては、本件の転売の前提になっている売主の取得にかかる契約が、解除条件付の売買契約であるために、場合によっては、所有権の取得ができないこともあるということを、事前に説明しておくなどの配慮が必要である。
 
  2.理由
(1)  宅地建物取引業法が、いわゆる業者の行う他人物売買を規制しているのは、まだ自分の所有物になっていない物件をあたかも自分のもののように装い、売却先の消費者に多額の金銭を支払わせたうえで、結果として所有権を移転させることができずに、消費者に多額の損害を与えたという過去の例から、これに一定の制約を加えることにしたものである(宅地建物取引業法第33条の2)。
(2)  そして、宅地建物取引業法は、その制約の内容として、当該宅地建物取引業者が他人物売買の目的物について、すでに取得する契約を締結している場合には原則として規制の対象にはしないが、その取得する契約の効力の発生が条件に係るものであってはならない、と定めている(同法第33条の2第1号)。したがって、本件のように、効力はすでに発生しているが、その効力の消滅が条件に係る、いわゆる解除条件付の取得契約であった場合にはどうなるか、というのが本件の問題なのである。
(3)  思うに、宅地建物取引業法の条文を見る限りにおいては、制限を受けるのは停止条件付のもの(農地法による農転の許可などのいわゆる「法定条件」付のものも含まれる。)をいうと解されるが(後記:国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」参照)、法の趣旨からは、解除条件という逆のかたちをとったとしても、その(解除の)条件の成就がかなりの確率でなされる可能性があるものについては、やはり契約が不安定なものになるため、買主に対し、結論で述べたような事前説明を行ったうえで契約を締結することが望ましい。
 
参照条文
 
宅地建物取引業法第33条の2(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)
 宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
一 宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているときその他宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令で定めるとき。
二 (略)
 
国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(抜すい)
  (第33条の2第1号関係)
一.  「宅地又は建物を取得する契約を締結しているとき」について
(略)
二.  「効力の発生が条件に係るもの」について
契約の効力の発生が条件に係るものについては適用除外とはしないこととしているが、ここに「条件」とは、いわゆる停止条件及び法定条件をいう。なお、農地法第5条の都道府県知事の許可を条件とする売買契約も「効力の発生が条件に係る契約」に該当する。
 
監修者のコメント
 いわゆる他人物売買の原則禁止規定が設けられた際に、適用除外として「宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約を締結しているとき」を規定したのは、まだ所有権がその他人に留保されていたとしても、とにかく契約を締結している以上、その他人は契約の拘束を受け、買主に所有権を移転せざるを得ないのだから、宅建業者が取得できる蓋然性が高いと考慮されたからである。それゆえ、その取得契約が条件付の場合、蓋然性をどうみるか、立法に当たって議論がなされたが、停止条件はまだ契約の効力が生じていないので、やはり原則どおり禁止とする。しかし、解除条件の場合は、条件付であっても、その取得契約の効力が生じているのであるから、その場合まで禁止するのは行き過ぎと考えられたからである。したがって、本ケースは回答のとおり、33条の2に抵触はしないが、売主である宅建業者の取得契約がそのような内容であることを買主が十分に納得のうえで売買契約を締結する必要がある。
 なお、本ケースの宅建業者が、本件の取得にかかる契約と並行的に借家人の立退き交渉を有償で引き受けることのないよう、くれぐれも注意されたい。弁護士法第72条違反の「非弁行為」となるからである。

より詳しく学ぶための関連リンク

“スコア”テキスト丸ごと公開! 「他人物売買」

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