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また、参照条文は、事例掲載日現在の法令に依っています。

売買事例 1310-B-0173
建築条件付土地分譲時における買主からの媒介手数料受領の是非

 当社は建築業者兼宅建業者であるが、ある同業者が分譲する建築条件付土地分譲に際し、建築工事の請負業者となる当社が、その土地売買の媒介を行い、買主から媒介手数料を受領することができるか。分譲主が客付けをした土地売買を媒介し、買主から媒介手数料を受領することはどうか。

事実関係

 当社は、建築業者兼宅建業者であるが、同業者の中に地主と懇意にしている者がおり、その同業者が開発した土地に当社が建物を建てて、建売住宅として共同事業を行うことを検討している。
 しかし一方で、建売住宅はリスクが大きいので、それと並行的に、当社が建築工事の請負業者となる建築条件付の土地分譲も検討している。

質問

  •  当社が建築条件付の土地分譲の媒介を行った場合に、建築工事を請負う当社が、土地売買の媒介手数料を買主から受領することはできるか。
  •  土地の売主である同業者が買主を見つけた場合も、当社がその売買の媒介に入り、媒介手数料を受領することができるか。

回答

1. 結 論
 質問1.について ― 買主が積極的に貴社に媒介の依頼をしたのであれば、貴社は買主から媒介手数料の受領ができるが、本件のような事業形態はむしろ土地の分譲(売り出し)であるから、媒介手数料は土地の分譲主(売主=同業者)から受領するのが筋であろう。その場合、貴社が建築工事の請負業者であることについては、土地売買の際の媒介手数料の受領とは直接関係はない。
 質問2.について ― この場合は、客付けをしたのは分譲主(売主)であるから、客付けをしていない貴社が、その顧客(買主)から媒介手数料を受領するのは、原則としてできないと解すべきである。
2. 理 由
⑴⑵について
 建築条件付の土地売買において、建築工事を請負う業者が宅建業者である場合に、土地売買の媒介を禁止する法令はない。したがって、宅建業者である貴社が、建築条件付土地売買における土地売買の媒介を行った場合には、原則として売主・買主双方から媒介手数料を受領することができる。
 しかし、本件の場合は、結論で述べたとおり、土地の分譲(売出し)と考えられるので、そうであれば、分譲時に現地に来場する買主から媒介手数料を受領するというのは、そもそも買主から媒介の依頼があるのか、媒介契約が成立しているのかという根本的な問題があり、その成立が否定されるケースが多いと考えられるからである(宅地建物取引業法第34条の2)。

参照条文

不動産の表示に関する公正競争規約第4条(用語の定義)
①~⑤ (略)
 この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
   建築条件付土地
 自己の所有する土地を販売するに当たり、自己と土地購入者との間において、自己又は自己の指定する建設業を営む者(建設業者)との間に、当該土地に建築する建物について一定期間内に建築請負契約が成立することを条件として売買される土地をいう(建築請負契約の相手方となる者を制限しない場合を含む。)。
    二~六 (略)
宅地建物取引業法第34条の2(媒介契約)
 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において、「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。
一~七 (略)
②~⑨ (略)

監修者のコメント

 媒介手数料をもらえるのは、①媒介依頼があり、業者が承諾したこと、②媒介行為が行われたこと、③媒介行為と成約との間に因果関係があることのすべての要件を備える必要がある。本ケースでは、回答にあるとおり、買主が土地の媒介を依頼し、依頼された業者が同業者の土地を紹介したというもの以外は、上記の要件を満たさないものと思われる。

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