不動産エバリュエーションWatching

(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。

2025年04月22日公開  NEW

タクミノイエリノベ2(2025年1月号)

表紙 サブ1 サブ2 サブ3 サブ4

間取り表記をカフェとしたのは珈琲を愉しむ空間を目指したから…
それは味や香りはもちろん淹れる過程から五感で感じること
そこは空を眺め、抜ける風や光を感じ余計な情報のないミニマムな空間

まずは和室2室を繋げた中央にテーブル、背面の既存柱を用い器具台を設け空間の核とする。
廊下の柱も造作ソファに用い階段勾配の調整で設けたベンチ縁側と連続させ窓辺に居場所を…
ラフに腰掛けると程よい距離感が保てる窓辺は、構造補強も含め景色を連続的に切り取る格子を設置。
断熱施工のため内側に付加した壁とラインを揃え合理的に…四角の光と影が時間と共に変化し豊かな表情を魅せる。
小屋組みも空間の一部としたのは非日常的な居場所を求めたのと天窓設置のため。城好きの御子息に触発されロフトは天守閣をイメージし、天窓下部は硝子の床を施す。バックヤードから回遊動線上の洗面・WC前が明るいのはそのためだ。
室内窓を適宜配置し、壁・天井には吸放湿・消臭効果の高い天然素材の左官塗材を…お陰で古家特有の臭いは皆無、四季を通し清々しい室内環境を維持できる。
大きい家は管理が大変で実家相続問題になりがちだが、多世代で暮らせばその大きさが生き、付加価値を加えれば未来の多様なライフワークにも寄り添える。
物価高の昨今、物を大切にする心で実家リノベに向き合う人が増えれば…地方が活気づき社会もうまく回るような気さえしている。

棟梁の自邸「匠の家」は入母屋造りに化粧垂木が特徴の純和風住宅。7年前に痛んでいた水廻りの改修を済ませるも、現在は家主一人住まいに…さすがに大きすぎいつしか物置化していた2階。地方にある大きな実家にありがちな問題だ。大量の荷物は誰が片付けるのか? もし空き家になり解体することになったら? なかなか一筋縄ではいかない。
しかし今回、実家の可能性を信じた家主の子世帯がUターンしリノベすることを決意。決め手は近年の物価高やウッドショックの影響から当時の天然乾燥材で組まれた軸組がもったいないという私見。また実家片付けもいずれ誰かが向き合う問題だと…
設計前には耐震診断とインスペクションを行い問題点を洗い出す。ポイントは既存真壁の断熱改修と南面大開口の構造補強。更にすでに施工済の断熱サッシをどう生かすか? 要望は外観意匠を保持し、将来カフェとしての利用も視野に入れた『珈琲を愉しめる空間』にすることだった。


before

before

plan

所 在 福島県
築 年 月 1978年4月
構 造 在来木造
間 取 り カフェ
リノベーション面積 69.56m2(施工範囲:2階部分)
施工期間 6ヶ月
設計施工 有限会社斉藤工匠店
資料提供:有限会社斉藤工匠店
写真:YY(横山芳樹)
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2023」実家リノベーション技術賞受賞作品(有限会社斉藤工匠店)

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