(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。
2024年11月11日公開
築47年のこの建物は元家主のセカンドハウスとして使われていた。構造は某ハウスメーカーの軽量鉄骨造の平屋。周囲は大きな雑木に囲まれ薄暗く、住宅街にありながら、孤立したような雰囲気の中にあった。
建物周囲が緑に囲まれているがそれが良さになっておらず、まずは雑木を間引くように伐採、心地よい緑と明るさ・雑木のその先にある雄大な景色を取り込むことから着手。広い敷地でありながらロータリーや花壇などの敷地の自由度を遮る構造物もあり、それらを撤去していくことも計画に入れながら進めていった。
オーナーは数年前に東京から移住、家族4人暮らし(現在は+猫3匹)。ご夫婦共にWEBディレクターであるが将来的に焼き鳥と惣菜の店(酒場)を開業する予定があり、それも踏まえた店舗併用住宅へリノベーション。既存は店舗併用住宅としては手狭のため、南側へ木造在来工法で増築。同時に既存の軽量鉄骨造に木造を掛け合わせ構造補強した。“鉄骨と木” を露出させることでこの建物をリノベーションするからこそ出せる意匠的な魅力と考えた。
プランはあえてLDKを西側に配置、西側に大きく開口をとった。敷地西側の雑木を伐採したことによりLDKからは野花が咲く広い野原が広がり、その先には森、遠くには南アルプスという借景が望める。南側は主寝室・子供部屋・ワークルームを配置。FLはLDKからぐっと下げ、天井は南に下がる勾配天井とし地面に向かって空間を絞り潜るようなつくりにした。南側に面した開口から見える緑は主寝室からは地面に寝そべったような距離感、子供部屋・ワークルームはLDKよりも地面に近く心
地よい籠り感をもたせた。
お店はカウンターを介して、惣菜等を販売、玄関ポーチを兼用した軒下で立ち飲みもできることを想定。お店(厨房)内は周囲の自然の緑に負けないくらいの深いマットなミドリ色の塗装とした。店舗と住宅という別用途がひとつの建物にあり構造等の見せ方は建物全体に統一しているが、ミドリ色を施す事で空間(用途)の切替にしている。店舗から外を眺めると周囲が緑に溢れ、外から店舗を覗くとミドリ色が広がる。緑とミドリ色は、空間の切替となったり、周囲との調和になったりとこの建物の軸となっている。
所 在 | : | 山梨県北杜市 |
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築 年 月 | : | 1976年12月 |
構 造 | : | 軽量鉄骨造+木造 |
リノベーション面積 | : | 155.19m2 |
施工期間 | : | 10ヶ月 |
設計施工 | : | 株式会社日々と建築 |
資料提供:株式会社日々と建築 | ||
after写真:nozomi nishi | ||
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2023」ライフ・リノベーション賞受賞作品(株式会社日々と建築) |