(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。
2024年10月04日公開
JR千葉駅から徒歩圏かつ大型都市公園に隣接するにも関わらず、その価値を埋もれさせてきた築36年のビジネスホテルを「公園との一体感と地域の活性化」を図り、1、2、5Fが店舗、3、4Fがオフィスである複合商業施設へ。ビルオーナーでもありオフィスに入居する地域のデベロッパーが新たな目的を帯びた施設へと再構築したプロジェクト。
計画地の建物は元ビジネスホテルで、RC造の間仕切壁も多く、再生させるのは障害が多いため、経済原理に則すれば取り壊して新築ビルを建設することがセオリーかと思われる。しかし構造躯体を活かしながら再構築し新たな目的を帯びた施設へと再生させ、その結果を地域に示すことが地域活性化にもつながると判断した。それは街がすでに持っている価値やポテンシャルの再開発とも言える。街の価値は街で暮らす人々がつくるものという考えの基に、1、2Fのユーザーは老若男女、全ての層を想定、それぞれが好きに行き交うことができるフロアとした。最上階には、空洞化している地元のビジネスの活性化の場、さながら「現代の料亭」を創出。この街の価値の新しい記録となりたいと考え「街の記憶を刻みながらも、日々、最高の記憶を更新していく場所」という想いの基に「the RECORDS」と命名した。
ビジネスホテル時代は、公園に隣接しているにも関わらず、既存建物の1Fは駐車場であり、公園に面したテラスも単なる設備置場であった。また、客室等の公園側の窓面も小さく、動線的にも視覚的にも公園や街へ開いた建物とは言い難かった。そこで、駐車場やテラスを客席へ、公園側に大きな窓を設けることで公園と密接な建物へのコンバージョンを計画。1Fからの人の滲み出し、公園との動線の連携、テラスと公園の心理的・視覚的つながり等は地域活性化にもつながると考えた。容積率の緩和対象である駐車場を店舗としたことにより他部分にて減床面積の必要があるが、それを逆手にとり、階高の低い既存建物に開放感を与え、階ごとのつながりを創出する大きな吹抜けを各階に設けた。1、2Fの客席は舞台性を持ち得ることになり各種イベントにも役立っている。3Fには東側に、4Fには逆側に設けることで、それぞれの階が吹抜けを介したシームレスな空間となり、非常に開放的なオフィスとなった。
名 称 | : | the RECORDS |
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所 在 | : | 千葉県千葉市 |
築 年 月 | : | 1986年9月 |
構 造 | : | 鉄筋コンクリート造 |
リノベーション面積 | : | 484.44m2 |
施工期間 | : | 11ヶ月 |
総合プロデュース | : | 株式会社拓匠開発 |
資料提供:株式会社拓匠開発 | ||
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2023」無差別級部門最優秀賞受賞作品(株式会社拓匠開発) |