不動産エバリュエーションWatching

(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。

2024年06月12日公開 

誰もが快適に過ごせる特別な高級トイレ空間 「プレミアムT」(2024年3月号)

表紙 サブ1 サブ2 サブ3 サブ4

神奈川県川崎市にある築30年以上の古風なマンションはトイレのみならず、専有面積に対して居住空間が細かく区切られており、窮屈な印象が感じられた。空間を最大限に活用するため、キッチン/ダイニング部分を拡張し、往来しやすい開放感あふれる空間を設けた。さらに、LDK - 主寝室間の隔たりを解消するため、3枚引き戸を採用。共用廊下に面した洋室はプレミアムTとシューズインクローゼットにコンバート。住まいにおいて“影” となる北側の部屋に魅力をもたらした。

プレミアムTはクローン病と戦う友人がきっかけで誕生したプロジェクト。同時期に代表の田平の父親が大腸がんで亡くなったことも深く関わる。クローン病とは国の指定難病の一種で、主に小腸や大腸などの消化管に炎症が起きる病気。腹痛、下痢、血便、発熱、肛門の痛みなどが慢性的に発生し、長時間トイレに滞在を強いられる。現段階では原因も解明されておらず、完全に治すための治療法も開発されていない。本プロジェクトを開始する際に指定難病支援を行うNPO法人に相談した際 「あなた達のようにまずは興味を持って知ってもらいたい」という言葉を受け、常識に捉われないトイレ空間を作り上げたいという想いが生まれた。

消化器関係で様々な症状を持つ方々を始め、持病の有無を問わず誰もが快適に過ごせるトイレ空間を創ることと、普段の生活では分かりづらく周りに理解してもらえない苦しみと戦う人達がいることを「知ってもらう」ことを目的に計画。トイレと洋室を一体化。居室としても機能する空間を演出。折りたたみ机、ダウンライトスピーカー、床暖房、涼風機能付き暖房機、単機換気扇などを搭載し、五感全てで快適さを感じられる空間を実現。玄関側の隔てにモールガラスの窓を採用し採光とプライバシーの確保を両立。「リフォームを通して誰かの役に立ちたい」「一人でも喜んでくれる人がいれば、その人のためにできることがしたい」という想いで施工した。


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物件名称 LifeShareSpace〜noma〜
所 在 神奈川県川崎市
築 年 月 1992年4月
構 造 鉄筋コンクリート造
間 取 り 1LDK+T(トイレ)
リノベーション面積 50.22m2
施工期間 2.5ヶ月
施 主 株式会社bELI AFTY
設 計 株式会社bELI AFTY
資料提供:株式会社bELI
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2023」総合グランプリ受賞作品(株式会社株式会社bELI )

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