(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。
2024年05月16日公開
かつて中⼭道の商店の賑わいを⾒せた⻄岐⾩。弘法太師の⽉命⽇にあたる21⽇には室町時代から続く縁⽇が毎月開催。そこには暮らしを豊かにする"遊び"が存在しました。
しかし、物流の拠点として栄えた沿道も産業の変⾰、住宅化と共に縁日も縮小、脆弱化していきました。⽂化を繋ぐための祭り場を作ろうとする最中、場末のスナックに⼀筋の可能性を感じ、新たなまちの“Play Spot”を提案します。
住宅と商いの間、暮らしと仕事の間、住まいと職場の間、人と人との間に隠れている豊かな本質を具現化、シェアするのがnoma(ノマ)です。一人ひとりが感性を共有、涵養することで創造は加速し新たな価値が育まれます。また、脈々と受け継ぐ地域、家族との関わり、何かを成し遂げようとする活動を⽀える座組みは持続可能な社会、住み続けられるまちには必要なのではないでしょうか。
Life Share Space、3階建ての2棟連なる建物を、西棟は、デイリーショップ、冷凍・菓⼦製造許可付シェアキッチン、東棟は、レンタルスペース、プライベートダイニング、ゲストハウスを構成。多機能空間となるこの間の創造は無限⼤。両棟を屋外階段にて⼀棟と⾒⽴て、暮らしと営みの融和を図りました。まちにとって余暇を楽しむものではなく、暮らしの余白を充足する、『忘れかけていた遊び心を呼び覚ます場』としての再編は、私達に感動をもたらすでしょう。
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当該建物もスナック兼住居、事務所兼住居としての小商いをしながら地域の賑わいを下支えしてきました。 産業の衰退と共に住宅化が加速し、近商地域でありながらもベットタウンとして分譲住宅が多く立ち並び、現在もその勢いは止まりません。
駅から徒歩10分と好立地でありながらも、消費ニーズで小商いの生活をカバーできない。そんなエリアながらもシェアリングの要素を街に取り入れることでニーズを満たす、やりたいことが実現できる街づくりの一端を目指します。
その一つのチャレンジが住宅からの脱却。
二棟を合算すると200㎡を超える延床面積に対し減築を施し、特殊建築物への用途変更の緩和を最大限に活かしました。
物件名称 | : | LifeShareSpace〜noma〜 |
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所 在 | : | 岐阜県 |
築 年 月 | : | 1980年2月 |
構 造 | : | 鉄骨造 |
リノベーション面積 | : | 199.20m2 |
施工期間 | : | 5ヶ月 |
資料提供:株式会社ネクスト名和 | ||
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2022」」まちの余白リノベーション賞受賞作品(株式会社ネクスト名和) |