(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。
2024年02月28日公開
地域の風景を後世に残したい。人が住まなくなり解体されてしまう古い空き家には、熟成された木材や、職人の技術が詰まった建具や家具、その当時の文化が垣間見える家財道具が眠っている。当たり前のようにあったからこそ捨てられ、時代が変われば古く価値のないものとされてしまう。そのどれもが歴史や文化を物語る大切な風景の一部。そんな失われてしまう風景のカケラを集め、新しい価値をつけて次の世代へ繋ぐ場所を目指して「PAAK STOCK」という古物物販事業を興した。空間はすでに集めてストックしているものを活用し「これが古材の使い方だ!」と言わんばかりに空間を間仕切る2種類のファサードをつくる。かつての生活感が窺える食器や小物などはガラスケースに入れ、美術品のように扱い非日常をしつらえ、元パチンコ屋の大きなワンルーム空間を古箪笥や棚を使って絶妙に仕切り路地空間のようなワクワクできる空間をつくった。場所は居酒屋やスナックが集まり昭和の時代に発展したことで江戸時代から続く町屋街の本町に対して新町と呼ばれ賑わっていたが、昨今の状況によりエリアの人通りも減っていた。ずっと閉まっていたシャッターを開け、店舗前には街と繋がることのできる半屋外空間を作り、ベンチや テーブルを置き人の流れを作るとともにエリアの空気の一変も狙った。すでにある風景のカケラを集め、再編集することでまた新たな風景を紡いでいく未来をみてみたい。
物件名称 | : | PAAK STOCK |
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所 在 | : | 宮崎県日南市 |
築 年 月 | : | 1980年1月 |
構 造 | : | 鉄骨造2階建て |
リノベーション面積 | : | 272.62m2 |
施工期間 | : | 3ヶ月 |
資料提供:PAAK DESIGN株式会社 | ||
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2022」アップサイクル・リノベーション賞受賞作品(PAAK DESIGN株式会社) |