不動産エバリュエーションWatching

(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。

2023年08月21日公開 

Ring on the Green 風と光が抜ける緑に囲まれた家(2023年6月号)

表紙 サブ1 サブ2 サブ3 サブ4

建築家の⾃邸リノベーションプロジェクトである。⾼密度な住宅地のマンションの2階レベルにある90㎡のワンフロアにおいて、住居となり、オフィスとなり、スタジオとなり、ショールームとなる、建築家の多様な活動を受け⼊れる拠点として計画した。
既存を丁寧に読み込み、「8つの開⼝をもつ明るい空間」と「築30年のコンクリートが持つ物性」を最⼤限に尊重しリノベーションの計画を進めた。
8つの開⼝を⽣かすために、気積と視線の抜けを最⼤化するプランをスタディし、引⼾によって間仕切ることもできるワンルームを採⽤した。
また、既存躯体RCの存在を最⼤化するために、鉄のフラットバーによる造作⾦物を挿⼊し、素材感と部材メンバーにおいて対⽐関係を作り出した。
キッチン、ダイニング、リビング、アトリエを横断する既存躯体から吊られたフレームとして「Linkaged Ring」を計画した。
不規則で⼒強い既存躯体フレームと、鋭い直線のFL+2050を通過する鉄のフレームを対⽐させ、組み込んだ照明によって両者を浮かび上がらせるデザインとした。
⾼密度な東京の住宅地に暮らす上で、近隣との距離の取り⽅は⾮常に重要なテーマである。ワンルームを取り囲む、外壁回りの⼀つながりの背景として、「GreenBack」を計画した。既存の出窓を利⽤し、植栽による緑のオブラートを纏わせ、インナーサッシによって区画し、その内側から内壁を被せることでサッシ⾒付を隠し、⾓丸の開⼝として設えた。インナーサッシ、ブラインド、植栽、アウターサッシという、4重のレイヤーによって近隣との直接的な視線の交わりを回避しつつ、直射光を制御し、断熱性能を向上させている。中央のLinkaged Ring から派⽣し、GreenBack によって濾過された近隣外壁までが⼀つの囲われとして連続的に体感できる、ペリメーターの在り⽅を考えた。


after

before

plan

所 在 東京都世田谷区
築 年 月 1988年4月
間 取 り 2LDK
構 造 鉄筋コンクリート造
リノベーション面積 90.54m2
施工期間 3ヶ月
設 計 HAMS and, Studio 伯耆原洋太+伯耆原智世
写 真:中村晃
資料提供:株式会社ルーヴィス
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2022」1000万円以上部門最優秀賞受賞作品(株式会社ルーヴィス)

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