不動産エバリュエーションWatching

(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。

2023年07月24日公開 

納屋と団地、小さなまちの職住一体のカタチ(2023年5月号)

表紙 サブ1 サブ2 サブ3 サブ4

約60年前、施主様が子どもの頃に建てられたご実家の納屋をレンタルスペースにリノベーション。ノスタルジックかつ洗練された外観は、住宅街で凛とした存在感を放ち、元が納屋とは思えないほど。道路に面した壁をガラス張りに変えたことで、通りすがりの人が気軽に入りやすい雰囲気になった。
「心地よい空間には人が集まる」という施主様の考えを反映した内部は、できる限り残した“古き良き” 原形を愛でながら、ガラス面や吹き抜けによる開放感も感じられる、まさに居心地のいい空間。お花屋さんや書道教室、お菓子販売、写真撮影、演奏会など、様々なジャンルのクリエイターの発信場所として約9㎢の小さなまち・播磨町に活気をもたらしている。
実は施主様は約10年前、ここから徒歩5分の場所に所有する団地1棟をリノベーションし、職住一体型のクリエイティブ拠点に。町外から移住したクリエイターが各戸に住みながら、共有スペースを「第二の部屋」として活用・発信できる環境をつくってきた。今回、より駅近で人通りも多いご実家の敷地内を団地のクリエイターの発信場所の第二弾としてまちに開くことで、より多くの人とつながる場所にしたいと考えた。先日、飲食に関わるクリエイターのために裏にあるもう1棟の納屋にキッチンを増設、2棟を扉でつないだ。将来的には母屋や庭、ガレージの活用も構想中。団地から納屋へと拡がった発信拠点は、まだまだ進化を続けていく。
築60年以上の大きな民家。敷地の隅に佇む納屋は、古い農機具や家財道具が詰まったまま使われておらず、「まちのためにいかしたい」と考えられたのが今回のきっかけ。
焼杉壁に囲われ窓も少ない納屋を「人が集まる場所」にどう変えるか、が大きな課題だったが、「入りやすさ」や「お店らしさ」が必要だと感じ、思い切って道路に面した壁を取り払い、全面ガラス張りに。表情が一変、採光もよくなった。また、梯子でアクセスしていた二階は、手前半分を撤去。吹き抜けが開放感をもたらすと同時に、二階部分を収納として使える安心感も生まれた。「なるべく原形を残し、心地よい空間に」というリクエストに応え、新しいものは極力加えず「取って整え、使いまわす」を意識。裏にあった格子戸を玄関に移設したり、梯 子を2階部分の手すりにしたり、切った木材を補強材にしたり。同じ年月を過ごした要素同士はなじみがよく、全体的に心地よい空間が出来上がった。


after

before

plan

名 称 納屋 naya hoccorito
所 在 兵庫県加古郡播磨町
築 年 月 1962年1月
構 造 木造
リノベーション面積 49.00m2
施工期間 1年3ヶ月
資料提供:株式会社フロッグハウス
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2022」まちのクリエイティブ・リノベーション賞受賞作品(株式会社フロッグハウス)

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