(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。
2023年03月20日公開
歴史文化と武家屋敷が広がる街並みが色濃く残る城下町飫肥に、長年空き家だった日本中どこにでもある普通の古民家に高付加価値を与え、地域の魅力を最大限伝えるソフトコンテンツとしての宿へリノベーションしました。このプロジェクトは、通常、設計事務所の職域であるリノベーションの設計監理だけでなく、地方に拠点を構える設計事務所が新たな1歩を踏み出したプロジェクトでもあります。
築100年ほどの小さな古民家を事業を想像しながら購入し、この物件に当てはまる事業計画を検討した結果、宿泊施設とすることにしました。ターゲットを想定したり、できるだけ本体事業に負荷をかけないように無人宿としたり、初めてオペレーションの設計もしました。今では、日々の運営も自社で行い、出てくる課題に対し、設計やデザインで培ったノウハウで解決に奔走しています。
また、宿では、古民家だけでなく、地域の魅力を体感できるさまざまな企画も用意しています。同じ地域で活動するアーティストや、デザイナーとコラボして古民家をアート化する企画、地域の団体・企業と連携し、この宿オリジナルの商品や、食料品も開発し、地方の城下町にある古民家宿だからこそできる体験を提供しています。
空間は、築100年の建物が持つ古き良き情緒と伝統的な様式を可能な限り残し、それを補完するように現代の様式や工法を採用し、その「差異」を体験し、楽しむことができるようなデザインを目指しました。
古き良き情緒を残した古民家ではありますが、最新のテクノロジーを使うことで、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた設計とし、チェックインからチェックアウトまで完全非接触の無人宿としています。
物件名称 | : | PAAK HOTEL 犀 |
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所 在 | : | 宮崎県日南市 |
築 年 月 | : | 1933年8月 |
構 造 | : | 木造2階建て |
リノベーション面積 | : | 91.13m2 |
施工期間 | : | 6ヶ月 |
資料提供:paak design株式会社 | ||
写真:ワタナベカズヒコ | ||
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021」地域資源インテグレート賞受賞作品(paak design株式会社) |