不動産エバリュエーションWatching

(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。

2023年03月01日公開 

BOIL 通信発信基地局から、 地域参加型の文化発信基地局へ(2022年6月号)

表紙 サブ1 サブ2 サブ3

NTT溝ノ口ビルは1974年の竣工時より電話回線への加入や料金の支払い窓口などとして利用され、地域の人たちを支えていた。一方で、近年は業務効率化等により事務棟建物内に余白が生まれていた。この余白を生かして地域を支え続けたいという想いからコンバージョンを行い、これまでの「通信」発信基地局の機能に、地域参加型の「文化」発信基地局という機能を付加、バリューアップを行った。コンセプトは成長と文化を意味する『gro-cul』(成長を意味する「grow」と文化「culture」を組み合わせた造語)。溝の口・高津という地域とともにコミュニティも建物も成長し、ここに集う人の想いが熱く沸騰する場になって欲しい、そんな思いから建物の愛称を“BOIL” と名付けた。
本計画では、音出し大歓迎のダンススタジオを設置。これに加え、シェアキッチン、ブルワリー、コワーキングスペースとして改修した。外部にはキッチンカーを誘致している。
通信施設としての象徴的な外観や高い天井を最大限に活かし、建物と道路の間に大階段を設けることで、内外をつなぐ計画とした。これまで見えなかった窓枠の上部に現れたさび止め塗装の鮮やかなオレンジ色を建物のキーカラーとし、エントランスの庇や家具に取り入れた。建物の状態を活かして歴史を尊重すると同時に、新しいものを取り入れるデザインとした。
この建物の完成が近づくにつれ、街ゆく人が足を止め期待を寄せていた。開業後、地域参加型で壁の塗装や家具製作ワークショップを行っている。地域の人とともに手を加えることで、たくさんの人に愛着を持ってもらえる場所にしていくことを目指している。


after

before

plan

物件名称NTT溝ノ口ビル(通称:BOIL)
所 在 神奈川県川崎市
築 年 月 1974年4月
構 造 RC造
リノベーション面積 1,293m2
施工期間6ヶ月
所 有 者 東日本電信電話
事 業 主 NTT都市開発
総合企画・設計・施工 リノベる
運営企画・リーシング NENGO
資料提供:リノベる株式会社
After写真:Hiroki Kawata(外観)、左上から松林真幸、Hiroki Kawata、薄井悠泰
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021」無差別級部門最優秀賞受賞作品(リノベる株式会社)

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