不動産エバリュエーションWatching

(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。

2022年04月07日公開 

災害を災凱へ (タムタムデザイン+ASTER)(2022年3月号)

表紙 サブ1 サブ2

2020年7月4日に起こった豪雨による球磨川の氾濫災害、死者19名という甚大な被害を被った人吉市。当施設もGLから2mまで達し、全てを流された。今回の設計は球磨川にネガティブなイメージを残さないよう、特に重視した。
大屋根の南側(球磨川側)を開口し、テラスデッキを作り球磨川と人吉城跡を堪能できるようにし、また2階の収容人員が最大30人増やせたことで避難場所にもなり、救助ヘリからピックアップもできるようにした。本瓦葺きの純和風の屋根とカーテンウォールのマッチングは人吉城跡を踏襲した先人の意思も残しつつ新しい意匠工法として表現した。
ガラスは全てLow-Eガラスを使用し基本色を黒、ガラス面に写る対岸の深緑は建物が自然に馴染むよう、ひとや環境に配慮した。
北側駐車場から建物を通って球磨川に下りられるようにし、各所に球磨川を満喫できる席を設けた。
球磨川の“災害と恵” という自然を感じ、向き合える場所として川を眺めながら飲食ができるこの地域唯一の機能を設けた。この災害エリアにとっては“地域づくり=復興” に大きな希望となっている。
受付の壁は球磨川の砂を一部使用し再利用が可能。改修に使用した無垢材は全て国産材を利用、瓦は全て洗い塗装直し、残った瓦はメンテナンス用に保管した。
改修時にはスケルトンに戻し造作、設備全て経年劣化によるものや被災した個所など調査の上、修繕更新した。維持管理が容易に行えるよう2階倉庫から屋根裏に通じるドアを設けた。既存鉄骨柱をあらわしにした。


after

before

plan

物件名称HASSENBA(地域観光拠点施設)
所 在 熊本県人吉市
築 年 月 1984年5月
構 造 鉄骨造(屋根木造)
リノベーション面積540.88m2
施工期間8ヶ月
施 工ASTER(有限会社中川正人商店)・中川正太郎+(有)カマサキ建設・釜崎修
資料提供:株式会社タムタムデザイン
after写真撮影:萩康博
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021」総合グランプリ受賞作品(株式会社タムタムデザイン)

フォローアップカレッジ2025

フォローアップカレッジ2024

集合研修で学習

不動産コンサルティング技能試験