(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。
2021年10月21日公開
今回のリノベーションは広島市近郊の築150年古民家。このエリアも空き家が増え続け、どう住み継いでいけるかが課題となっている。
代々受け継がれてきたこの家を次世代に向け「古くて新しいOLD&NEW」な古民家のカタチを提案した。
まず外観は、入母屋造と赤褐色の石州瓦屋根の佇まいを残し、地域景観を保ちながら新しいファサードデザインへ。
室内は南東の日当たりが良い場所でありながら、日常使われない仏間、床の間、縁側。このスペースを家族や友人、地域の人達が集える場として、縁側を室内空間と一体化し、そこから広がるデッキを設けた。
古民家特有の冬の寒さが最も課題であった。
そこで、寒さによる身体への負担を軽減するために「温熱・省エネ計画」の提案を行った。
寒さを我慢するのではなく、断熱パッシブエリアを定め、新築同等の冬の快適性、健康的な住まいを目指した。断熱性能も国が定める省エネ等級4(UA値0.87W/㎡K)に対してUA値0.68W/㎡Kと大幅に達成し、省エネ性についても室温の安定による冷暖房エネルギーの効率化、負荷削減にもつながるリノベとなった。
古民家は地域にとって大事な資源であり資産である。
古民家リノベに携わる者として、古民家の魅力を伝えると共に「新しい暮らし方とデザイン」を発信し、次世代が住み継いでいくことを願い、伝えることが私たちの役割と考えている。
物件名称 | : | Old & New 古くて新しい・古民家のカタチ |
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所 在 | : | 広島県広島市 |
築 年 月 | : | 1870年1月 |
構 造 | : | 木造 |
リノベーション面積 | : | 85.45m2 |
施工期間 | : | 7ヶ月 |
設計施工 | : | 一級建築士事務所 株式会社ラーバン |
資料提供:一級建築士事務所 株式会社ラーバン | ||
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