不動産エバリュエーションWatching

(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。

2020年11月19日公開 

二軒長屋のブロック造の家(2020年10月号)

表紙 サブ1 サブ2 サブ3 サブ4

Before
築35年で当時は札幌土木現業所の職員用の建物として作られた、補強コンクリートブロック造の二軒長屋。昭和40 ~50年代に北海道で建設が進んだコンクリートブロック造の建物は、建て替えにより次々と姿を消している。一年を通じて穏やかな気候の長沼町だが、冬は日本海から西・北西の強い季節風が吹き、にわかに多量の降雪をみることも。のどかな田園風景が広がる町は、移住先としても人気だ。壁内結露などの問題を解消し、北海道に残る貴重な遺産に、新たな息を吹き込む。
After
北海道の長い冬。そんな北海道の暮らしを心地よく、より楽しむために断熱は既存の天井断熱から屋 根断熱へ改修。さらに、ブロックの内側に施工されていたグラスウール内断熱は、180mm厚の外断熱(ビーズ法ポリスチレンフォーム)に改修することで、壁内結露を防ぎ、見た目よりも広く感じる開放感のある空間を実現した。
さらに、内壁はコンクリートブロックなどを現しにすることで味わい深い素材の質感を感じられるうえ、外壁左官や内部塗装も通気性のあるものを使用しているので、まるで家全体が息をするようである。
さらに、リビングには五感で温もりを感じられる、無垢の木と薪ストーブを設置。無垢のフローリングには、冬のひんやりした足触りを防いでくれる効果がある。
元々の家で使われていた古材は、内窓や明かり窓として再利用。古きものと、新しい技術が調和して いて、どちらかが不要なのではない、大切に受け継ぎたいもの同士が調和する。
雪国では、助け合わなければ生きていけない。寒さ厳しい冬も、暖かく、笑顔で暮らせるように。地 方の人口が減りゆく北海道で、この景色や温かい人々、素敵な祭りの魅力を受け継いでいくために。
そう願いながら作った、穏やかな景色が流れる町のリノベーションは、町の埋もれていた魅力に気づ かせてくれた。


after

before

plan

物件名称二軒長屋のブロック造の家
所 在 北海道長沼町
築 年 月 1984年10月
構 造 補強コンクリートブロック造
間 取 り L D、K、P a n t r y、W C、U T、Bath、3BR、WCL、2ndLiving、Loft
リノベーション面積122.51m2
費 用 3,000万円(税込)
施工期間4ヶ月
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2019」地域風景デザイン賞受賞作品(株式会社スロウル)

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