不動産エバリュエーションWatching

(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。

2020年03月13日公開 

鹿児島断熱賃貸 〜エコリノベ実証実験プロジェクト〜(2020年3月号)

表紙 サブ1 サブ2 サブ3 サブ4

「南国鹿児島に断熱は不要でしょ?」
そんな間違った認識を払拭するため、物件オーナーであり、鹿児島市のエネルギー供給会社である日本ガスが、エネルギー会社でありながら断熱エコリノベを通じて省エネルギーを推奨するという、一見矛盾しているように思える自虐的な企画が今回の鹿児島エコリノベ実証実験PJである。
この取組は、増え続ける空き家問題に対する解決の糸口となるよう、賃貸でも快適な暮らしを提供することで長くその物件に住み続けてもらいたいという意図のもとに計画された。
天井・壁・床には温熱計算に基づき選定された断熱材を隙間なく充填し気密もしっかり確保することで、Ua値は改修前3.1に対し断熱施工後は0.41まで向上させた(HEAT20G2グレード相当)。
さらに鹿児島大学大学院二宮研究室の協力の下、無断熱既存空室で同一機種のエアコンを用いた温度測定、電気使用量のデータ測定を行った結果、断熱後の部屋では外気温が0度のときでも室内表面温度は変化が少なく、無断熱の部屋に比べ体感温度は3.1度上昇、電気使用量は30%減というデータを得た。
鹿児島市の玄関口である“鹿児島中央駅” と中心繁華街“天文館” から共に1kmの好立地であるにも関わらず長年空き家であった本物件は、このデータを入居者募集時に明文化することで、完成引き渡し前後に入居が決まり、空室対策としての効果も立証された。
今後のストック活用の一つの事例となればと願う。


after

before

plan

物件名称鹿児島断熱賃貸 〜エコリノベ実証実験プロジェクト〜
所 在 鹿児島県鹿児島市
築 年 月 1981年3月
構 造 鉄筋コンクリート造5階建て
リノベーション
面積
35.37m2/42.66m2(2DKマンションを2戸施工)
工事期間2018年7月~12月
費 用 1 戸当たり400万円(税込)
形 態 自由設計リノベ
事 業 主 日本ガス株式会社
設計・温熱計算 株式会社エネルギーまちづくり社
施 工 RENOVEGGA(株式会社 大城)
温度測定 鹿児島大学大学院 二宮研究室
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2019」総合グランプリ受賞作品(株式会社 大城)

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