(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。
2020年01月21日公開
家の中心にある箱型の階段室。ここが光や空気の通り道となり、かつ家全体で多様な生活シーンが生まれるきっかけをつくっている。2 階の北側に広く窓を新設することで、季節問わず安定した光が階段を通して1 階に拡がり、かつ、階段室の壁に張ったタイルによりやわらかな光の反射を生み出した。階段を中心にした回遊導線を持ったこの家は、ここに住むことを決めた家族の生活を受け止め、家のどこにいても気配を感じることができ、「おーい」と呼びかけるようなコミュニケーションが生まれている。
さらにここでは、経年変化を楽しみ、かつ自ら家に積極的に手を入れ続けていけるようなきっかけの一つとして、「やわらかいタイル」を開発し実装した。マットな仕上がりは急須づくりに用いられる伝統的技法を用い、土の質感や、やわらかさを表現。使いながら磨きを加えることで濃淡のある光沢を作り出し、触れることでも繊細に変化し、暮らしの記憶を紡いでいく。タイル一枚一枚が均一ではないゆらぎのある表情を生み、光を反射・拡散させる採光装置としても機能している。
物件名称 | : | やわらかな質感と光がめぐる 箱階段のある家 |
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所 在 | : | 東京都世田谷区 |
築 年 月 | : | 1985年8月 |
リノベーション 面積 | : | 115.34m2 |
構 造 | : | 木造在来工法 |
リノベーション 施工期間 | : | 約6ヶ月 |
費 用 | : | 2,400万円(税込み) |
形 態 | : | 再販モデル |
間 取 り | : | 中心に筒状の階段室のある2層 の箱 |
「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2018」ベストテクニックR5賞受賞作品(株式会社リビタ) |