不動産エバリュエーションWatching

(公財)不動産流通推進センター編集・発行(発売:(株)大成出版社)の月刊誌『不動産フォーラム21』では、表紙において、特徴のある既存建物の有効活用事例を取り上げています。ここでは、その内容を転載し、ご紹介致します。

2019年03月05日公開 

黒川紀章への手紙(2019年2月号)

表紙 サブ1 サブ2

本物件は1999年に黒川紀章が設計した「門司港レトロハイマート」が舞台である。再販リノベーションとして1住戸のリノベーション設計をする事になったが、同業の巨匠が手がけた建築として、現調からもリスペクトから入る。黒川紀章の設計思考を読み解くべく周囲を探索し、環境を読み解き、またそこにこれからのあるべき姿を見出した上で、空間を通し黒川紀章への問いかけを行うようなエスキスを繰り返した。

関門海峡を目の前にした区画はまさしく絶景である。ただし絶景の区画を建物内に多く取るがあまり海側の間口が狭く、旧間取りでは絶景を堪能できる部屋がリビングのみに限られていた。それは黒川紀章が出した一つの答えだと思う。私はそこに“関門海峡への道”というコンセプトを産み出し、玄関から、キッチンから、リビングから、全ての空間から絶景が見渡せるように腰壁上部を全てガラス張りとした。

朝焼けや夕焼け、紫色に染まる関門海峡の空は住居内のガラス全てに反射を繰り返し、玄関まで趣きを運ぶ。玄関土間は区画の中央まで延び、足元は間接照明でアプローチを表し、趣きの発信となる海側の開口部屋まで案内してくれる。

「黒川紀章先生、20年後のローカル建築家が出した“関門海峡への道”というリノベーション問答。この答えはいかがでしょうか?」

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物件名称黒川紀章への手紙
所  在福岡県北九州市門司区東港町1番32号
構  造高強度鉄筋コンクリート31階20階部分
占有面積69.08m2(20.89坪)
主要用途共同住宅
築 年 月平成11年
リノベーション
竣工
平成30年3月
「リノベーション・オブ・ザイヤー2018」総合グランプリ受賞作品(株式会社タムタムデザイン)

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