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売買事例 1402-B-0175掲載日:2014年2月
過去に自殺のあった土地における建売住宅の分譲方法
過去に、土地の所有者が自殺した土地で建売住宅を分譲する場合、その自殺した場所(物置小屋があった場所)を避けて区画割りをすれば、自殺した土地であることを告知する義務はないと考えてよいか。
事実関係
今回当社が建売住宅の分譲を計画している土地は、5年前にその土地の所有者が自殺した土地である。それを今回当社が購入し、下図のように3区画に分けて分譲するのであるが、そのうちの1区画(3号地)は、従前の土地所有者が自殺した物置小屋が建っていた区画である。
そのため、その3号地の物件は、その物置小屋が建っていた場所に2台分の駐車場を設け、その駐車場部分の土地を分筆したうえで、その境に塀を建て、居住部分と駐車場部分(自殺のあった場所)とを分離させている。
質問
- このような分譲形態をとった場合、1号地、2号地の建売住宅を販売するときは、その敷地が、5年前に自殺のあった土地であることを告知する義務はないと考えてよいか。
- 3号地の建売住宅を販売するときは、その駐車場部分の土地だけが、過去に自殺のあった土地であると告知すれば、告知義務を果したと考えてよいか。
回答
1. 結 論 | ||||
⑴ | 質問1.について ― 告知する義務がある。 | |||
⑵ | 質問2.について ― 告知義務を果したとはいえない。 |
2. 理 由 | ||||
一般に、住宅内での自殺において、いわゆる「自殺物件」と忌み嫌う土地の範囲については、その自殺した人の住まいの敷地とされていた土地の全部をいうと解される。 したがって、本件のように建売住宅が3棟建設され、そのうちの1棟の敷地の一部に自殺をした物置小屋があったというようなケースにおいては、結論で述べたように、少なくとも3棟の事業地全体がいわゆる「自殺物件」であるという告知をする必要があるので、過去に物置小屋があった駐車場部分だけが実際に自殺のあった土地だと告知することによって、他の部分がいわゆる「自殺物件」ではないという誤解を与えるような説明はすべきでない。 |
監修者のコメント
自殺がなされた物件は、目には見えないが、住み心地の良さを欠くという心理的な欠陥、主観的感情的瑕疵の問題であるが、その事実を取引に当たって告知する義務があるかどうかは、通常人、一般人にとってその事実を告げられたなら取引をしたかどうかという基準で決定する必要がある。この点、告知義務に関する宅建業法第47条1号の規定において告知しなければならない事項の最後に「宅建業者の相手方等」(いわば顧客)の「判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」とあるのが参考となる。この文言を平たく言えば、売買であれば、買主がその事実を知ったなら買うことをやめるのが普通であるかどうかであるが、本ケースに当てはめてみたらどうであろうか。
この土地の上で自殺がなされたが、自分の土地は分筆され、自殺部分ではないから何も問題ないと考える人が多いであろうか。
本件のようなケースの質問の多くは、できるだけその事実は告知したくないからであるが、告知したくないという心理のウラには告知することが販売上不利と考えるからであることが多い。もし、そうであれば、上記の告知義務の対象であることを無意識のうちに自認していることといえる。