公益財団法人不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター) > 公益財団法人 不動産流通推進センター認定資格 > 公認 不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 > 勉強会・イベントレポート > 成功事例発表会&懇親会レポート

公益財団法人 不動産流通推進センター認定資格

成功事例発表会&懇親会レポート

平成26年11月5日、当センター初の試みとなる、「公認 不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士・不動産有効活用専門士 成功事例発表会」を開催しました。発表者・聴講者合わせて約50名の方々にご参加いただきました。
開催にあたり、事前に両専門士の方々から、ご自身の仕事に関わる成功事例について募集をさせていただきました。そして、多数のご応募の中から、当日は5名の方に発表していただきました。時間の都合上、お一人30分ずつの発表時間ではありましたが、ご自身の案件に対する思いが伝わる、大変素晴らしい内容でした。

→相続対策専門士・不動産有効活用専門士とは
不動産流通推進センター認定資格 一覧

 

あわせて、各専門士の認定に関して、統括講師をしていただきました、福田郁雄先生(相続対策専門士 統括講師)と塩見哲先生(不動産有効活用専門士 統括講師)に、ご講演をいただきました。
その後の懇親会では、和やかな雰囲気の中、発表者の方々へ記念品の贈呈が行われました。

→動画を再生するには
 


相続対策専門士
幸せを遺す
大澤 健司 氏
株式会社サンヨーホーム
不動産コンサルティング室
詳細Profile
http://www.sanyo-home.net/
(案件概要)
時期:平成26年8月~現在進行中
エリア:茨城県

相続対策専門士
民事信託の実務と課題
佐藤 雄樹 氏
株式会社brands 代表取締役
(一社)東京都相続相談センター 理事
詳細Profile
http://www.tokyoto-souzoku.com/
(案件概要)
時期:平成26年1月~7月
エリア:東京都

相続対策専門士
相続対策6つのキーワード
石田 正敏 氏
合同会社 不動産コンサル神戸
代表社員
 
詳細Profile
http://www.kobe-busicolle.net/konsul-kobe/
(案件概要)
平成12年4月~現在までの自身の経験
 
 
不動産有効活用専門士
相続発生後の分割協議・相続財産の有効活用・家族信託提案
秋山 哲男 氏
株式会社 財産ブレーントラスト
代表取締役
詳細Profile
http://zbt.co.jp/
(案件概要)
時期:平成25年11月
エリア:東京都郊外

不動産有効活用専門士
定期借地権付分譲住宅の事例
松野 誠寛 氏
松野不動産株式会社
代表取締役会長
詳細Profile
http://www.0011.co.jp/
(案件概要)
時期:平成22年
エリア:香川県高松市
 
 

相続対策専門士関連講演
「資産設計 プライベートカンパニーの活用による相続対策」
講師:福田 郁雄 先生
(株)福田財産コンサル代表取締役 
 
不動産有効活用専門士関連講演
講師:塩見 哲 先生
ダンコンサルティング(株)代表取締役

ページトップへ


相続対策専門士 事例発表(概要)


相続対策専門士
幸せを遺す
発表者:大澤 健司 氏

当初は、オーナーの所有する低稼働の駐車場に着目し相続財産の評価額減を目的とした戸建賃貸住宅の建築を勧めていました。
オーナーの意向とも合致する内容でしたが、相続人となるオーナー夫人の気持ちはその物件とは別の長期間手が付けられず放置されている12カ所の貸地に対する不安にありました。
その貸地には、借地人側の数次の相続により関係が複雑化しているもの、借地人の行方が不明のもの、契約書がないもの、賃料が契約時のままであり現状に合わないもの等、様々なトラブルを抱えており、解決に消極的なオーナーから引き継いだ後は、自分が何とかしなければならないというプレッシャーを感じていたようです。
そこで、オーナー夫人の不安を取り除くことが優先事項だと考え、貸地の整理から手を付けることにしました。オーナー側の総意として貸地整理について依頼を受け、改めて相続対策が始まりました。

借地人と接触するに際しては、不動産業者という印象を与えないよう、つまり、「不動産に精通した相続の専門家」という印象を持ってもらえる様に、「相続対策専門士」などを前面に出した自己紹介書の作成など事前準備に気を遣いました。

結果としては、1件は賃貸条件や更新条件を整え更新契約を締結、1件は底地の売却を行いました。現在も順次、他の借地人と解決に向けて取り組んでいる最中です。
また、借地人側からも相続や遺産分割に係る問題の相談を受け、資産価格査定や不要資産の売却、アパートの建設、既存賃貸物件の管理業務の受託等の相談を受けました。
結果を出していくことで夫人を含めたオーナー側からも信頼を得て、当初提案していた戸建賃貸住宅の建築についても請負契約を締結し、現在、建築中です。

現在進行中の案件ですが、「相続」をキーワードに不動産のコンサルティングを進めていると、ひとつの案件から新たな案件、また新たな案件とつながっていくことを実感しました。
これからも、お客様の「幸せを遺す」お手伝いをしていけるよう、コンサルティングに取り組んでいきたいと思っています。

ページトップへ


相続対策専門士
民事信託の実務と課題
発表者:佐藤 雄樹 氏

税理士から、顧問先の地主の相続対策について相談を受けた結果、ご本人、推定相続人で協議し、賃貸マンションの売却が決定しました。
依頼者であるご本人は、かなり高齢であり、身体も衰弱してきており、今後の認知症等のリスクも懸念されることから、「民事信託」を利用することとしました。

しかし、実際に購入検討者が現れ、具体的に契約に向けて商談を進めましたが、購入検討者をはじめ、その顧問弁護士や、さらには金融機関等も民事信託という制度の理解が無く、最終的に売買契約を締結し、決済に至るに当たって非常に苦労しました。

今回の経験から民事信託制度を利用するにあたり、「法的には求められていなくても、公正証書化すること。」「依頼者が高齢の場合、医師の診断書を取得しておくこと。」がポイントになると実感しました。

また、民事信託制度は、相続対策を行うに当たり、あらゆる可能性を秘めた制度であると思っています。しかし、このような有効な制度も周知されなければなりません。何よりも、我々「相続対策専門士」が、その周知活動を行っていかなければならないと強く感じています。

*民事信託・家族信託とは、信託会社や信託銀行を使わない家族間など親しい人間関係の間で行われる信託のことです。(信託法上、民事信託や家族信託という用語はありません。)

ページトップへ


相続対策専門士
相続対策6つのキーワード
発表者:石田 正敏 氏

自分が平成12年4月より約14年間、不動産コンサルティングを行ってきた中で、今日は皆さんに6つのキーワードをお伝えしたいと思います。

①不動産コンサルティングは、できるかできないかではなく、やるかやらないかである
②不動産の賃貸借がコンサルティングのきっかけとなる
③専門家との連携をスムーズにすることが大事
④有料のコンサルティングが次の有料コンサルティングを生む
⑤1人の不動産所有者から、数多くの不動産コンサルティングと仲介案件が生まれる
⑥不動産所有者は、自分の不動産の内容を知らない

不動産コンサルティングの事例はまだ少なく、手探りで進めていかなければならないことも多くあります。そんな時、取り組んだ案件を一つ一つ書面化しておくことで、その後の案件のヒントや、反省の材料になり、非常に有効だと感じています。
また、特に感じたのが、不動産の所有者が自分の不動産の内容を知らないということです。権利書や契約書等の書類の整理がされないまま、紙袋にすべて入っている状態で、どこに何があるのか分からないという所有者からの相談がいくつもありました。そうした書類の整理も仕事として行い、不動産の内容を把握することから、相続対策の提案につながると実感しました。
このように、困っている不動産所有者の方がたくさんいらっしゃいます。相続対策専門士の方が一人でも多く、相続対策に取り組んでいただければと思っています。

ページトップへ

不動産有効活用対策専門士 事例発表(概要)


不動産有効活用専門士
相続発生後の分割協議・相続財産の有効活用・家族信託提案
発表者:秋山 哲男 氏

大地主であった父親が亡くなり、その相続人である3人(長女・次女・三女)から、相続物件の有効活用について相談がありました。相続財産には、自宅・貸店舗・コインパーキング・貸事務所・アパート・駐車場・貸家・貸倉庫等がありました。
被相続人と同居していた三女を中心に分割協議がなされ、まず、三女の相続した土地の有効活用の依頼を受け、調査と各事業者への打診を進めました。市場性を鑑みコインパーキング、トランクルーム、マンションデベロッパー、戸建て分譲業者等に打診し、依頼人の意を汲み、納得して最終決定を下せるよう、トランクルーム・一部分譲一部賃貸戸建・事業用資産の組み換えに絞りました。
結果としては、「借り入れが発生しない形での事業用資産の組み換え」を行うことになりました。

また、相続人の状況として、長女にのみ子供がいるが、次女・三女には子供がいない。次女には配偶者がいるため、次女が配偶者よりも先に亡くなった場合、次女の財産の3/4は配偶者に渡ってしまいます。次女の配偶者が亡くなったあと、財産を長女の子に相続できるよう、家族信託を活用する提案をしました。一般社団法人を設立し、後継ぎ遺贈型受益者連続信託の信託契約を締結し、このスキームで家族信託包括コンサルティング契約と一般社団法人との顧問契約を締結できました。三女の資産の組み換えについては、都心の賃貸マンション1棟を一般社団法人が取得し、相続した土地については、戸建分譲業者に売却しました。
取得したマンションについては、空室が数室ありましたが、設備の入れ替え等、リフォームを実施し、現在は満室になっています。
現在、長女と次女の相続物件についても、提案を順次進めています。

ページトップへ


不動産有効活用専門士
定期借地権付分譲住宅の事例
発表者:松野 誠寛 氏

30年近く、不動産仲介をしてきた中で、お客様から「何も使っていない土地があって困る」等のお話を伺うことがしばしばありました。そこで思いついたのが、定期借地権を活用した戸建て分譲住宅です。土地所有者には、定期的に安定した収入源として、入居者には総額安で夢の家として、喜ばれるのではないか、と思い計画しました。また投資用として購入するお客様にとっても、私的年金作りや利回り金融商品の一つとして、また、相続の際も評価減を得られること等、多くのメリットが考えられました。

平成22年春から計画がスタートした定期借地権付分譲住宅「煉瓦の家 ラ・ヴィーダ」(春日町全9邸)は、木造建築の外壁に煉瓦を引っ掛けた工法(特許エターナルウォール工法)の戸建て住宅。木造でありながら、耐震性に優れ、30年間は大規模メンテナンスの必要性がなく、室内は懐と好みに合わせてリフォームができる、というものです。
しかし販売時に東日本大震災に遭遇し、販売がストップ。結局、3邸売り上げ、6邸は土地所有者に値引きで購入していただき、ファイナンスから地代収納等の一切を弊社が受け持つことになりました。本案件は、定期借地権物件として完売に至らず失敗に終わりましたが、「ラ・ヴィーダ」の潜在的需要はあると考えています。
この経験をベースに、今度は、借地だからこそ可能な「新コミュニティ形成団地」を作りたいと思っています。例えば、迷路のような道路付け、共有スペースがあり、そこで昼間は子供たちが宿題をし、夜は父親たちが酒を持ち寄って語り合う…。さらに、その中古住宅流通ができたら、面白いのではないでしょうか。土地が所有であっても賃貸であっても関係ない、これからは定期借地権、定期借家権の普及を目指していきたいと思っています。具体的なステージの33,000㎡が、定借候補地として浮上してきました。また吉報をお届け出来ることでしょう。


ページトップへ

page