不動産エバリュエーション事例コンテスト
このページでは、不動産流通推進センターのエバリュエーションコンテストに関する情報をお伝えします。
お知らせ(随時更新)
「不動産エバリュエーション事例コンテスト2022」事例紹介動画・講評
2023年3月7日公開
受賞者の皆さまに作成いただいた受賞事例の紹介動画を掲載いたします。
併せて、明海大学不動産学部 学部長・教授 中城康彦先生の講評も掲載いたします。
ぜひご覧ください。
大賞
「名駅二丁目三番街 再生の物語」株式会社泉不動産 足立幹和様
大賞
「これからの京町家~高断熱・高気密を取り入れたリノベーション住宅~」株式会社 八清様
優秀賞
「近年の社会経済の変化に伴う新しい住まい方の有効需要層を求めて、賃貸マーケット情報分析を基に貸室仕様の工夫と収益再生のバリューアップに取組んでみた」
レールウェイサービス株式会社 増田善弘様
不動産エバリュエーション事例コンテスト2022 講評
明海大学不動産学部 学部長・教授 中城康彦 |
持続可能な開発目標(SDGs)が地球規模の課題として設定されています。国内を見れば、地域再生、中心市街地活性化や空き家の利活用が大きな課題です。限りある資源、すでにある資産を効果的に利用することがグローバルにもローカルにも求められています。
不動産の分野でもフロービジネスからストックビジネスへという大きな流れがあり、特に、地域密着型の不動産業者においてはその取組みの重要性が確実、かつ、急速に高まっています。
公益財団法人不動産流通推進センターはこのような流れを踏まえ、2018年にエバリュエーションをキーワードに、従来の不動産業の業態を横断する新たなビジネスづくりに取り組んできました。公認 不動産コンサルティングマスターや宅地建物取引士を対象にエバリュエーションの実務家の育成に取り組むと同時に、2018年には建物エバリュエーション事例コンテスト、翌年には名称を変更し、不動産エバリュエーション事例コンテスト2019を開催しました。優れた事例を顕彰するとともにその取組みを共有することを通じて、ストック活用型の新たなビジネスモデルとしての不動産エバリュエーションの普及と進展の環境づくりが進められた次第です。
バリュエーション(valuation)には、性能評価、影響評価、耐久性評価、市場性評価など、様々なものがあり、多くの局面で用いられます。これに対して、エバリュエーション(evaluation)には、経済価値を評価する意味合いを含みます。一般的な表記に倣えば、不動産バリュエーションとするところ、不動産エバリュエーションとネーミングしているのは、不動産の経済価値を測定してそれを向上させる狙いを反映したものです。
2020 年と2021 年は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、事例コンテストの開催が見送られました。2022年は、3年ぶりに開催となりましたが、3年分の実績の積み重ねもあって、クオリティの高いコンテストとなりました。
受賞した各事例の受賞理由はすでに公表されている通りですが、共通して指摘できる点は、“残存耐用年数を感じさせない”新鮮さです。日本では、建物の価値は時間の経過とともに不可避的に低下すると考えてきました。つまり、時間は価値を減少させる要因であり、経過年数は抗えない事実として、評価する際の絶対的な説明変数でした。その方法論は、企業会計原則が規定する減価償却と同様、取得に要した金額をもとに価値や価格を査定するコストアプローチ(原価方式)です。
これに対して、利用可能な残存時間をもとに価値と価格を評価するインカムアプローチ(収益方式)によれば、50年の価値は永久の価値の90%程度となります。この価値は経過年数とは独立で、何年経過した建物であっても50年の残存利用が可能であれば90%の価値を持つことになります。もとより、そのために適切な管理と追加投資が不可欠となります。
不動産エバリュエーションのビジネスモデルは、“古いからあと何年持つかわからない”では成り立たず、“古いからあと何年持つかわからないが50年は持つ”が合言葉になります。
大賞を受賞した「名駅二丁目三番街 再生の物語」は、三大都市圏の駅近くの立地故に、遠くない将来に大きな変容が想定されることから、それを織り込んだ内容となっています。それは場所に合わせた合理的な考え方ですが、仮に、そのような立地条件でないとしても、創り出された空間は貴重、かつ、秀逸で、50年の継続利用に値するものです。
路地、柔らかく囲われた屋外広場などの外部空間、年期を感じさせる構造体が見える吹き抜けのある内部空間など、日本の伝統的な技法を駆使した空間の分節と連続が魅力的で、いつまでも人を惹きつけることでしょう。
大賞を受賞した「これからの京町家〜高断熱・高気密を取り入れたリノベーション住宅〜」は、すでに一定の実績によって社会的認知を得ている京町屋の再生利用を一段と進化させ、より長い利用可能時間を与えるものです。
2022年6月公布の改正建築物省エネルギー法は、全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付ける、販売・賃貸時に省エネ性能を表示することを推進するなどを規定し、3年以内に施行されることになっています。これにより、省エネ性能の程度によって市場の競争力が大きく異なり、それが不動産価格に反映されることになります。
改正法は当面、新築住宅等で適用されますが、既存住宅についても新築住宅と同等、あるいはそれ以上の性能を持つことで、より長期に利用され、より高い価格で取引されることになります。
受賞した住宅は、日本の伝統的な空間の美学を引き継ぎつつ、設計の巧みさで今日的に表現して再生させた点で今日的な課題に応え、高断熱・高気密を先取りする形で徹底した点で将来的な課題にも対応しています。この住宅がこれまで経過した時間より長い時間、利用し続けてほしいものです。
優秀賞を受賞した、「劣化した既存建物を、エリア特性から潜在ニーズを割出し物件再生」は、一般的な賃貸住宅ゆえに厳しい市場の競争にさらされる状況を克服する様子を、小説のように伝えています。シナリオを作り上げた不動産コンサルタントの気持ちと手作り感が満載で、心が温まります。
不動産エバリュエーションの想いを込めて見つめれば、賃貸人と賃借人の双方に恩恵があり、対象不動産と周辺地域の両者が共存するソリューションを示すことができることを示しています。受賞した住宅は、建物の躯体や仕上げはしっかり造られています。将来も需要の変化に対しては、改修で対応することでしょう。次に追加投資する際も今回と同様に不動産エバリュエーションに取り組んでいただきたいと思います。そのためにも今回の記録を残して次に繋げることも大切です。
「不動産エバリュエーション事例コンテスト2022」受賞結果
2022年12月19日発表
今回の事例コンテストにご応募いただいた皆様に心より御礼を申し上げます。
厳正な選考を重ねた結果、下記のとおり3件を入賞事例として発表させていただくこととなりました。
受賞された皆様、おめでとうございます。
「大賞」「優秀賞」の事例につきましては、2023年1月に事例発表動画を当ホームページに掲載する予定です。
事例名称 | 事例名称 | 受賞者 |
---|---|---|
大賞 (2事例)賞金 10万円 |
名駅二丁目三番街 再生の物語 |
株式会社泉不動産 足立幹和様 |
これからの京町家 ~高断熱・高気密を取り入れたリノベーション住宅~ |
株式会社 八清様 | |
優秀賞 (1事例)賞金 5万円 |
近年の社会経済の変化に伴う新しい住まい方の有効需要層を求めて、賃貸マーケット情報分析を基に貸室仕様の工夫と収益再生のバリューアップに取組んでみた |
レールウェイサービス 株式会社 増田善弘様 |
「不動産エバリュエーション事例コンテスト2022」
応募期間:2022年9月1日(木)~2022年10月20日(木)
「不動産エバリュエーション事例コンテスト」は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、2020年及び2021年はやむを得ず開催を見送りました。今回は、3年ぶりの開催となります。
コンテストおよび事例の募集概要は以下の通りです。皆さまのご応募をお待ちしています。
<テーマ>
①既存建物の工法や技術、建材や設計デザイン等、高性能、高付加価値及び高品質なものを見出し、その土地の調査やエリアマーケティングを踏まえ活用した成功事例②リフォーム、リノベーション、コンバージョンといった手法を用いて、既存建物の価値を、その土地の調査やエリアマーケティングを踏まえクリエイトした成功事例
*補助金制度などを活用した点があれば付記してください。
<募集要項>
イ)ご提出いただくもの事例に関するレポート(物件概要・建物の状況~活用事例)および図面や写真等詳細がわかるもの
※応募いただいた事例データは返却しません。ご了承ください。
受賞作品は、発表会(動画配信)にて発表する予定です。また、「事例集」として編纂し配布する可能性もあります。関係者の了解を得た上で、公表可能な事例をご応募ください。
ロ)参加条件
限定なし(不動産流通業界外の方も奮ってご応募ください)ハ)応募方法
ご氏名・ご住所・電話番号・メールアドレス・生年月日を明記の上、(上記イ)をいずれかの方法で送付してください。A.下記のメールアドレスに添付して送信
suisin2@retpc.jp
B.郵送
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-30サウスヒル永田町8階
公益財団法人 不動産流通推進センター 事業推進室
不動産エバリュエーション事例コンテスト係
ニ)応募期間
2022年9月1日(木)~2022年10月20日(木)ホ)受賞発表
2022年12月に発表予定(受賞者の方には直接連絡いたします)大賞 賞金10万円
優秀賞 賞金5万円
準優秀賞 賞金3万円
※2023年1月頃に、発表会(動画配信)にて、受賞者ご自身に事例解説を行っていただきます。受賞された方は別途発表⽤の資料を作成していただきます。(1⼈約20分、事前収録)
お問合せ先
公益財団法人 不動産流通推進センター 事業推進室不動産エバリュエーション事例コンテスト係
TEL 03-5843-2078 / メール suisin2@retpc.jp
※受付11:00〜15:00 土・日・祝、毎⽉第1・3・5金曜休
※担当不在の場合は折り返しご連絡します。
※前回の「不動産エバリュエーション事例コンテスト」はこちらをご覧ください。