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土地と周辺環境の内在リスクを見つけよう
Mr.マイスターの回答 内在リスク6

42条2項道路の通行・掘削・セットバックリスク

(1)(リスクの予見)

① セットバックを要するか・不要かのリスクがあります。

ア.南側道路及び東側道路(私道)の一部は、開発課での調査と現況確認により、対側の開発行為による一方後退で幅員6mとなっています。

イ.しかし、建築指導課からは、南側道路及び東側道路は42条2項道路との説明があります。

ウ.担当取引士乙は、6m部分はセットバック不要と判断しましたが、宅建マイスターは、特定行政庁が2項道路の指定を取り消していない以上、6m部分もセットバックの必要があると予見し、2項道路の指定が取り消されていない理由、2項道路の指定が取り消される可能性について、調査することが必要と判断します。

② 南側道路及び東側道路(私道)は、永田氏は権利がなく、通行・掘削の承諾が得られるか否かのリスクがあります。

(2)(リスクの調査)

① セットバックの要・不要の調査

ア.対象不動産の所在地を所管する特定行政庁で調査をします。例えば東京多摩地区の場合、市町村のうち八王子、町田、府中、調布、三鷹、武蔵野、日野、立川、国分寺の9市は、それぞれの市が特定行政庁であり、9市以外は東京都多摩建築指導事務所が特定行政庁です。

イ.対側の開発行為により幅員4m以上の道路が築造され、42条1項2号道路が新設された場合、特定行政庁が、該当部分について2項道路の指定を取消しているかどうかの確認が必要です。2項道路の指定が取消されていれば、この部分のセットバックは不要となります。

ウ.特定行政庁によっては、従来、開発行為によって幅員4mが確保された道路区域について、2項道路の指定を取り消してきた事務処理を、2項道路が存続する取扱いに変更している場合もありますので、役所調査で確認する必要があります。

エ.対象不動産の所在地を所管する特定行政庁の調査結果は、「2項道路の指定は取り消さず存続している」との回答であったとします。

② 南側道路及び東側道路(私道)の通行・掘削承諾

ア.南側道路及び東側道路の所有者に通行・掘削の承諾を得る必要があります。

イ.通行・掘削の承諾が得られないときは、対象不動産における宅地開発等の土地利用が制約され、そのリスク(利用の制限、土地評価等)についても調査・検討の必要があります。

(3)(リスクへの対応)

① 2項道路のセットバック

ア.対側の開発行為によって幅員4m以上の道路が確保されても、2項道路が存続している場合は、指定された2項道路の中心線から2mセットバックが必要です。

・2項道路の中心線は、現況幅員の中心線ではありません。2項道路が指定された時の道の中心線です。

・中心線の割り出しは、土地家屋調査士あるいは測量士等の専門家に委ねる必要があります。

イ.このセットバックが必要という結論は、南側道路及び東側道路の私道の通行・掘削の同意にも反映させる必要があります。

② 南側道路及び東側道路の私道の通行・掘削の同意
 南側道路及び東側道路の私道所有者M氏と協議の結果、私道の通行・掘削について承諾が得られたものとします。
 宅建マイスター甲は、M氏と永田氏の間の合意書案を起案します。

私道の通行掘削等合意書(例)

M(以下、「甲」という。)と永田一郎(以下、「乙」という。)とは、乙が所有する末尾記載の土地1及び2(以下、「乙所有地」という。)の利用に関し、甲が所有する末尾記載の土地1乃至3(以下、土地1乃至3を合わせて「本件道路」という。)の通行・掘削等について次の通り合意したので、本合意書2通を作成し、各自1通を保有する。

第1条

 甲及び乙は、末尾記載の甲所有の土地1は建築基準法第42条第2項により指定された道路(以下、「2項道路部分」という。)であり、甲所有の土地2及び3は甲が行った開発行為に基づき築造された道路(以下、「開発道路部分」という。)であることを確認する。

2.乙は、乙所有の土地1及び2を活用し建物の建築及び区画形質の変更をするときは、2項道路部分の中心線から水平距離2m後退した線が建築基準法第42条第2項に基づく道路の境界線とみなされるため、当該部分をセットバックし2項道路部分と一体として、道路に供することを確約する。

第2条

 甲は、乙が本件道路を無償で道路として次の各号に供することを承諾する。

⑴ 本件道路の日常の通行(歩行、自転車・車両等の通行を含む。)

⑵ 末尾記載の乙所有の土地1及び2(将来、乙所有の土地1及び2の間に所 在する水路・里道を取得した場合は、これらの土地を含む。)における建物の建築又は区画形質の変更に伴う上水道、下水道、ガス、電気等の供給処理施設の配管の埋設、これらの維持保全・改修のため本件道路の掘削その他必要な工事の施工(以下、「掘削等」という。)

第3条

 乙は、前条による本件道路の掘削等その他必要な工事を行うときは、予め、工事目的、施工計画(掘削範囲、方法、施工スケジュール、施工業者名等)を甲に通知しなければならない。ただし、緊急を要する工事の必要が生じた場合は、事後の通知とすることができる。

第4条

 甲及び乙は、それぞれの土地を譲渡・贈与等をするときは、第三者に本合意書を承継させるものとする。

令和元年10月1日
    甲 住所
      氏名

    乙 住所
      氏名

不動産の表示
甲所有の土地1 Ⅹ市○○町105番地目:公衆用道路  地積:○○㎡
甲所有の土地2 同 所  107番7地目:公衆用道路  地積:○○㎡
甲所有の土地3 同 所  115番2地目:公衆用道路  地積:○○㎡
乙所有の土地1 Ⅹ市○○町101番地目:宅地     地積:700.00㎡
乙所有の土地2 同 所  102番地目:宅地     地積:500.00㎡

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