理事長あいさつ
 公益財団法人不動産流通推進センターは、本年11月1日に創立40周年を迎えました。この間、不動産業界をはじめとする各方面の皆様方に賜りましたご指導とご支援に心から感謝申し上げます。
 顧みますと、当センターが設立された昭和50年代の不動産業界は、住宅ストックの量的充足に伴い住み替え需要が増加するなど、既存住宅の流通拡大が見込まれる中で、流通体制の整備への対応や、事業経営の合理化・効率化などは、必ずしも十分なものではありませんでした。このような状況を背景として、不動産流通市場の整備・近代化を推進し、不動産業の経営の合理化・近代化に寄与するための中核的役割を担う組織として、昭和55年11月、センターが設立されました。
 以来、センターは、不動産業者団体等に対する債務保証・助成事業、媒介契約の適正化、価格査定方式の標準化等に係る調査研究事業等を実施するとともに、不動産流通標準情報システム(レインズ)の開発・改良、不動産ジャパンの運用、価格査定マニュアルの策定や、不動産コンサルティング技能試験・登録事業、人材の育成をはじめとする各種事業を推進してまいりました。また、電話による無料の不動産相談においては、一般消費者及び不動産事業者から年間約七千の相談に対応しているところです。
 この10年を振り返ってみますと、平成24年4月に公益法人制度改革関連3法に基づき公益財団法人へ移行するとともに、平成27年4月には、設立以来30年以上を経過し、社会情勢も変化してきたことから、センターの使命や事業内容をより的確に表示するため、不動産流通近代化センターから不動産流通推進センターへと名称を変更いたしました。
 また、調査研究事業において、価格査定マニュアルの追加・改訂、大学との共同研究等を行うとともに、教育事業においては宅建マイスター認定試験、宅建アソシエイト認定資格、不動産業におけるコンプライアンス確立に関する取組みなど新たな事業を展開しています。平成30年には、センターの意義・果たすべき役割りを示し、中長期的に目指すべきセンターの姿及び業務の方向性を記した「経営ビジョン」を策定し、「安全で豊かな不動産流通の今日を支え、明日を創る」のミッションを果たすべく業務に精進しています。
 現在、不動産業は、人口減少・少子高齢化の進展、空き家・遊休不動産等の増加、グローバル化、自然災害など多くの課題に直面しております。また、昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大は、不動産業界において企業活動のあり方も含め大きな影響を与えています。このような状況下ではありますが、不動産は生活、経済の基盤であることから、社会経済の変化に的確に対応し、不動産業が持続的に発展していくため、適正な取引の確立、従業員の能力・資質の向上、コンプライアンスの確立を図るべく、センター役職員一同、従前にもまして業務に励んでまいります。
 引き続き関係各位のご指導、ご支援をお願い申し上げます。
2020年11月
公益財団法人不動産流通推進センター
理事長 坂本 久